体に備わる力を引き出す「分子栄養学講座」/109

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甘さを表す糖度と甘味度

人間がものを食べた時に感じる味覚は人間に備わる五感の一つで、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味です。その中でも甘味は、果物やお菓子などを食べた時に感じる甘い味ですが、糖類に含まれる成分が甘味を生み出しています。

食べ物を食べたときに感じる甘味には二つの指標があります。糖度と甘味度です。
スーパーなどで果物や野菜の説明に「糖度◯%」のような表示を見たことがあるでしょう。糖度とは、野菜や果物に含まれる糖質の含有率を表しているので、糖度が高くなるほど甘味も強くなります。

砂糖の糖度は、砂糖に含まれるスクロース(ショ糖)の含有率を測定しているため、100に近いほど糖度が高いことになります。コーヒーシュガーなどに使われるグラニュー糖や精製した白砂糖(上白糖)の糖度は、99.9%近くありますが、精製する前の黒糖は、甘味だけでなく渋味や苦味などの雑味をもたらすミネラルなどの天然成分を含むため、糖度は75~86と、砂糖の中で最も低くなります。

糖質やスクロースの含有量から決まる糖度に対して甘味度は、人間の味覚に基づいた指標で、砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)を基準として、比較した数値で表されます。甘味度は甘味料の甘さのレベルを測定しているものになります。

砂糖1に対してブドウ糖は0.74、オリゴ糖は0.3〜0.6であるのに対して、果物に含まれる果糖は1.73と、甘味度が砂糖よりも高くなります。ブドウやバナナなどの果物を食べたときに甘く感じることが数字として表されています。バナナは、果糖の含有量が他の果物もよりも多く、水分量が少ないため、糖度が高くなり21%近くあります。

果物を乾燥させたドライフルーツも水分が減るため、生の果物よりも糖度が高くなる傾向があります。黒糖の糖度は80%程度ですが、甘味度は0.95近くあり、砂糖と同じ程度の甘さを感じます。黒糖に含まれる雑味成分が、砂糖より少ない糖度にも関わらず、甘さを生み出していることになります。

ブドウ糖や果糖などの単糖類や、砂糖の主成分であるスクロースなどの二糖類、オリゴ糖などの小糖類は甘味が強い傾向があり、多糖類であるデンプンは、ほとんど甘味がありません。ご飯を炊いたときに甘味を感じるのは、食べる際によく噛むと、唾液に含まれる消化酵素の働きでデンプンが分解されて、甘味があるマントース(麦芽糖)に分解されることによります。

[su_note note_color=”#FEEEED”] ● 今週のまとめ ●
甘味を表す指標には、糖度と甘味度があります。糖度は糖質やスクロースの含有量から決まり、甘味度は人間の味覚に基づいた指標で砂糖に対する相対的な数値で表されます。
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